みなさま、ご無沙汰しておりますイエタテスタッフの那須田です。
長年の花粉症に悩まされ、苦しみの春を迎えております。
さて僕の近況はさておき、
日々、工務店さんと話をしたり、家の取材をしていく中で
ふと「大工」ってどれくらいいるんだろうなぁと思ってました。
自分の身の回りには、サラリーマンや家業を継ぐ人はいるのですが
「大工」が1人もいないのです。
そんな中、
「一般社団法人 静岡木の家ネットワーク」様からお声掛け頂き、
大工育成のための「指導棟梁研修会」にお邪魔させて頂きました。
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一般社団法人 静岡木の家ネットワーク様は、
静岡県西部を中心に地域工務店や設計事務所の技術力・設計力を向上させ、
より良い住まいを提供するために活動されている団体で、
今回は大工育成のために始まった1回目のイベント。
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冒頭のお話からいきなり衝撃の事実が。
「1980年のピーク時に93万7000人いた大工人口は、2015年には60%減の37万2000人にまで減少。高齢化が進み、若年層の入職者が減少する傾向も続き、2015年時点で、20代の大工は3万1740人、10代の大工は2150人しかいないという状況」だそうです。
日本の20代男性は620万人ほど、女性は600万人ほどいるのですが
その内、大工は3万人・・・。
500人の中に1人大工がいるといった数字です。
(これは、身の回りに大工がいない訳です)
ここで、さらなる疑問(不安)が。
「この先誰が家を建ててくれるのか・・・」
このまま、大工になる人がいなくなってしまったらマイホームどころではありません。
そんな状況に歯止めをかけるべく、
若手人材の確保と大工育成を進めていくそうです。
もともと小さいころになりたい職業にランクインしてくる大工なのに
なぜ実際の担い手が増えないのか。
そのためには育成環境の整備が必要ということで、
業者様向けに開催されたのが今回のイベントです。
武部建設株式会社代表の武部様が
一般社団法人 JBN大工育成プロジェクトリーダーの立場として
お話をして下さいました。
内容は主に業者様向けでしたが、
業界・業種が違えど非常に参考になる人材育成のお話で
身の引き締まる思いでした。
かつて活用されてきた「徒弟制度」を現代風にアレンジして
大工のキャリアパスを描いていく必要があり、
そのためにはきちんとした「指導」ができる「棟梁」つまり「指導棟梁」を増やしていくことが鍵であるとのことです。
また、「大工を教えられるのは大工しかいない」という言葉が印象的でした。
良い家が永く引き継がれていくためにも、
こういった大工育成の取り組みがますます動きが加速されることを期待したいですね。
住宅というと、ついつい建物といったハードな部分に注目が行きがちですが
建ててくれるのはいつの時代も「人」です。
この先も技術が継承され素晴らしい家が建っていくのを願うとともに
イエタテも引き続き、「担い手」というソフトな面からの住宅を調査していきたいと思います!